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春日町バスレーンブルース2013-04-19 Fri 16:06
朝。
AM8:05 この時間、出勤ラッシュに押され、弾かれるように電車から降りる人たち。 みんな同じ方向を向いて改札を過ぎる まるで砂時計の中心のように まだ働き出すには少し早い時間かもしれない 無言の中、街を動かす雑踏が鳴り響く そんな春日町 遠くにはまだ動かない観覧車と、東京ドームが見える ここいらはまだ動き出してない スーツを着た歩行者 業者のトラック 都バス 街の中で唯一動いているもの 働くにはまだ早い時間 そんな時間にもう働いている ご苦労な人達 でも、おれはそうじゃない まだ働き出すには時間がある だから、 だから俺はこうやって路肩に停めた車の窓から 人で色付く街を眺めている それにしても 働くにはまだ早い、ぜんっぜん早い 早す… 「はい、おにいさん。ユーサクさんでいいのかなー」 「はい」 「免許証お返ししますねー。」 「……」 「あのね、大きい標識で描いてあったと思うけど、ここね、バス専用レーンなんだよねー。解る?見える?これ。」 「…」 「うん、結構いるのよバスレーン走っちゃう人。空いてるように見えるもんね。だから今ね取り締まってるの。お兄さん急いでるのにごめんねー」 「…こんな朝早くから取り締まってるんですね」 「そうね、だって、専用レーンになるのは七時半から九時までだからね。我々、七時からいましたよー。」 「…そ、そうですか」 「はい、じゃーね、ユーサクさんね、確認してください。バス専用レーンを100m走行ね、道交法違反。うん。違反金が6000円。減点1点。これ確認して、ここに人差し指押してくださいね。」 「……」 「はい、ありがとー。綺麗に押せました。じゃあこれ、持って帰って、違反金納入してください。」 「……」 「これから仕事?」 「はい」 「そうなんだー。今ね、交通安全運動期間だから、本当に気をつけて運転して欲しいのね。事故があると大変だし、お兄さんまだ若いから、夢だってあるでしょ。それを無駄にして欲しくないしさ。」 「はぁ…」 「この先も、バス専用レーンは続くから、気をつけてね。」 「あの、バス専用レーンってどのくらい走ったらアウトなんですか。」 「ここではね、100mだね。」 「おれ、気付いて車線変更しようとしたんですけど、いれてもらえなかったんですよ。右車線。」 「そうでしたかー。」 「そういう事情があっても、ダメなの。」 「うーん、ユーサクさん、どこからバス専用レーン走りだしたのかな。」 実際おれ、多分500mは走ってた 「いや、すぐそこからですよ。」 「え?ほんとー?そこって春日町の交差点?」 「はい」 「そうかー、じゃあやっぱり100mだね。」 「…、で、でも、車線変更しようとしたインターバルが…」 「うーん、やっぱりね、ダメなんですよ。走っちゃってるから。」 何を言ってもだめみたいだ どんな言葉並べても無理だ 俺の呪文は通用しない マホカンタ あるいは マホトーン 先に唱えられてしまった。 俺に勝ち目はない。 いのちだいじに 「…もう、仕事行きます」 「そっかー、がんばってねー。あ、どっちに出ます??ここからだと、あっちにでて、こうまわって、そこを……左……それから…」 時間だけがすぎていく。 道の戻り方? そんなのどうだっていい あの朝の春日町は二度と忘れない 朝の雑踏 色付く街 青色の制服で 白いヘルメットをかぶった集団 速そうな白い改造バイク 違反金納入書 その後、無言で車を走らせ 職場にたどり着く バスレーンを走った俺が悪いのか それとも、 バスレーンを走った俺が悪いのか あるいは バスレーンを走った俺が悪いのか 答えは解らない 自分の心に尋ねても 返事がない へんじがない ただのしかばねのようだ スポンサーサイト
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コメント
カラダを張ったネタ作り、ごくろうさまです♪
すごく素敵な文章ですね。 ショートショートだね。 いいわー。 2013-05-03 Fri 00:45 | URL | 愛 [ 編集 ]
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